グッデイならできる♪家族でつくる、いい一日。ホームセンター グッデイ

2 需要創造、市場創造のポイントは、
  「ストーリー」と「値ごろ感」

柳瀬御社のここ5年間の変化はとても目覚ましいものがあると感じますが、例えばLED照明を手掛けられたきっかけは何だったのでしょうか。

大山数年前、政府がCO2削減25%を目標に掲げた時、それを聞いて「節電」をテーマにしようと考えたのです。LED事業は、社会的使命感から取り組んだものでした。
 結果的に我々はプライスリーダーとなって、トップシェアをとりました。すると家電量販店もアイリスのLEDを扱うようになり、どんどん取引が増えていきました。

柳瀬社会的使命から製品を作り、それが今、大きなビジネスになっているというのは、すごいですね。

大山メーカーベンダーの強みだと思います。当社には、メーカーベンダーを基盤としたイノベーションがありました。ひとつは、ものづくりです。先ほどお話したように、我々は業種メーカーではなく業態メーカーとして、素材の枠、カテゴリーの枠を超えて、様々な技術を組み合わせ、様々な製品を自社内で作ることができるようになりました。たいていのものは自社の工場で作れるので、当社の内製化比率は大変高いんですよ。

 部品などを外注に頼むことが多ければ、それだけ製造原価も高くなります。私は「価格破壊」という言葉は嫌いですが、「値ごろ」で売りたいと思っています。つまり、お客様が喜んで買ってくれる値段はいくらかということです。
 当時、LED電球は1個1万円でした。それが5000円になったとしても、もともと100円の電球を5000円で買うでしょうか。私は、社員たちに「奥さんはいくらなら買うか」と問う中で、一定の期間で元が取れるなら単価が違っても買ってくれるのではないかと思い至りました。LEDの寿命は10年ですから、2000円なら妥当ではないかと。そして、その値段で作るにはどうすればいいかをみんなで考え、2000円で売れるLEDを作ったのです。人間、目標が決まると知恵が出てくるものです。

柳瀬製造原価を積み上げて値段を決めるのではなく、お客様が買いたい価格で値段を決めるのですね。

大山そうです。ですから、他の会社が5000円で売っているから、うちは4000円にしようといった発想もありません。「メーカーは原価を知っているが、お客様は高いか安いかを知っている」とよく言われます。メーカーは原価を積み上げで利益を乗せ、赤字にならないように値段を付けるけれど、お客様は費用対効果で判断してものを買います。作り手と買い手の視点はこんなに違うということです。
 プロダクトアウトで供給側が強かった時代は、メーカーの一方的な値付けが通用していましたが、今は違います。お客様、エンドユーザーの支持なくしてビジネスは成り立ちません。

柳瀬お客様には原価は関係ない。買う価値があると思える値段はいくらか、という思想ですね。

大山そうです。また、そこにはストーリーが必要です。アイリスは何でも作っているように見えますが、思いつきではなく、ちゃんとしたストーリーがあるのです。
 例えば、30年前には消費活動の中に「快適」という概念はありませんでした。当時はまだ大量生産・大量消費の時代ですから、人々にとって一番の価値は、安くて量が多いことでした。差別化など必要ありませんでした。
 しかし我々には、日本はこれからもっと豊かになる。豊かになると必需品は揃う。やがて人は、快適さやゆとりを求めるようになる。そういうストーリーが見えたのです。ここはまだ、一般の人々が気づいていない価値観でした。そこを読んで、園芸という発想が出て来ました。次に、夏冬は園芸が楽しめないという人のためにペットはどうかと考えました。クリアケースも、探す不便を解消するという快適性から発想したものです。このように、ストーリーの流れに沿って需要創造をしているのです。

柳瀬とても面白いですね。現在は、どのようなストーリーをお持ちですか。最近、お米を取り扱うようになられたことも含めて、お聞かせください。

大山今も「快適」の追求は続けていますが、ホームソリューションという形では、ほぼ完成形に近付けたと思っています。あとは、健康や美容の部分で「ヘルスケア」、そして「環境問題」があって「節電」ですね。
 昨年は、お米の事業を始めました。東日本大震災で、宮城県だけでも13000ヘクタールもの農地が津波で潮をかぶりました。ここの農業をどうするかという問題があります。
 一昨年、有志が集まって、東北未来創造イニシアチブという組織を立ち上げました。東北で新しい事業、産業を興していこうと様々な支援をする中で、若手農家の声を聞く機会があり、彼らが作るものを販売していこうと考えました。そこで、当社で米を取り扱うことにしたのです。
 米の販売についても、生産者側からではなく、消費者の目線で考える必要があります。
 そもそも、米がポリ袋に入っているということも、脱穀して精米して入れるだけという生産者側の便利さからではないかと思います。安く買えるかもしれないけれど、米びつに移し、1~2カ月たつと酸化して味が落ち、虫がわくという問題も生じます。そこで我々は、ひとつの家族が1回の食事で消費する米は平均3合というデータから、3合ずつのパックにして販売することにしました。

柳瀬お客様の視点があってこその気づきですね。

モノ見聞録
バックナンバー
ランドスケープアーティスト 石原 和幸氏

  1945年生まれ。64年、急逝した父親の後を継ぎ、19歳でプラスチック成形加工を行う大山ブロー工業所代表に就任。71年に法人化、91年アイリスオーヤマに社名変更。生活用品の企画・製造・販売により、同社を大きく成長させた。地元の経済団体等において数々の要職を歴任。東北未来創造イニシアチブの代表発起人でもあり、地域の経済産業の振興に尽力している。

嘉穂無線株式会社 副社長 柳瀬 隆志

 1976年生まれ。2008年、嘉穂無線株式会社に入社。売り場経験を経て、09年取締役社長室室長に就任。「グッデイならできる」のフレーズで親しまれるCMの制作に携わる。10年に取締役本部長、13年、代表取締役副社長兼営業本部長に就任し、現在に至る。